東京高等裁判所 昭和57年(行ソ)6号 判決
1 先ず、再審原告の、原判決に民事訴訟法四二〇条一項六号所定の再審事由が存する旨の主張について検討する。
再審原告が右事由に該当すべき具体的事実として主張するところは、必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、本件審決取消請求事件における第二三回準備手続調書または再審被告提出の準備手続調書(案)が偽造または変造されたものであるというに帰着するところ、そもそも、右調書や調書(案)は、当該訴訟事件において判決の証拠となるべきものではないばかりか、右主張は、偽造または変造行為について、同条二項所定の要件を充すべき事実の主張を欠いていることが明らかである。
したがつて、再審原告の前記主張は、それ自体、適法な再審事由として採るに足りないものである。
2 次に、再審原告の、原判決に民事訴訟法四二〇条一項九号所定の再審事由が存する旨の主張について検討する。
原判決が再審原告主張の各事項について判断を遺脱したか否かは、それが判決に影響を及ぼすべき重要な事項であれば、事柄の性質上、再審原告が原判決正本の送達を受けることにより、当然に知りうべきものである。しかして、本件審決取消請求事件の一件記録によると、再審原告は、昭和五六年二月二三日、原判決正本の送達を受けたことが明らかであるから、再審原告は、その主張のような再審事由の存在を了知したはずであり、本件においてこれを否定すべき特段の事情を認めるに足るものはなく、また、右一件記録によると、再審原告は、原判決に対して上告の申立をしたにもかかわらず、その上告理由中で、本件において主張するような判断遺脱の事実を主張した形跡のないことも明らかである。したがつて、その後に再審原告が原判決に民事訴訟法四二〇条一項九号所定の再審事由ありとして再審の申立をすることは、同条一項但書の規定に反するものとして許されないところといわなければならない。再審原告の前記主張も採用しえない。
3 以上によると、本件再審の訴は、不適法というほかなく、その欠缺は補正することができないものと認められるので、民事訴訟法二〇二条の規定により口頭弁論を経ないで右訴を却下することとする。